開催期間:
2023/02/19 04:00~07:10
第28回平成塾通信講座スクーリング「呼吸器疾患の病態と薬物療法」
演題1:「呼吸器感染ウイルス 〜種類・歴史・侵入機構〜」(13:00〜14:30)
講師: 平成塾塾長 逸見仁道
ウイルスは生き抜くために巧妙な手段で宿主側の仕組みをうまく利用している。呼吸器感染を引き起こすウイルスも例外ではない。本講演では呼吸器感染ウイルスの種類、RNAウイルスの変異しやすい理由及び宿主側の特異的プロテアーゼを利用した活性化機構について発見の経緯も含めて紹介する。代表的な呼吸器感染ウイルスとして、インフルエンザウイルス、ライノウイルス、コロナウイルスが、小児ではRSウイルスやアデノウイルスが知られている。これらのウイルスはアデノウイルスを除けば全てRNAウイルスである。多くのRNAウイルスは宿主細胞の校正・修復機構をすり抜けるので変異しやすい。この変異のし易さが環境変化への適応に有利に働いていると考えられている。さらにウイルスが標的細胞に付着し、侵入するためには「ウイルスの活性化」という現象が必須である。ウイルスは自らを活性化するために宿主側の特異的プロテアーゼを利用している。プロテアーゼが活性化に関与しているという傍証は1970年代にマウスに感染するセンダイウイルスで観察され、インフルエンザウイルスやコロナウイルスでも起こっていることが明らかとなっている。最近、世界的に猛威を振るって鶏関連食品の価格上昇を招いている高病原性トリインフルエンザウイルスでは全身に存在するプロテアーゼにより活性化される。従って、感染は全身で起こり、致死率も高い。一方、呼吸器のみで活性化されるウイルスによる病変は呼吸器に限定されることが多い。活性化はウイルスの巧妙さの1つとして捉えられており、世界に誇る我が国のセンダイウイルス研究についても紹介する。
<演者略歴>
1974年(昭和49年) 昭和薬科大学卒業
1976年(昭和51年) 昭和薬科大学大学院修士課程修了
1980年(昭和55年) 東北大学大学院医学研究科博士課程修了(医学博士)
1980年(昭和55年)~1983年(昭和58年) 米国留学
National Institutes of Health, National Cancer Institute, Visiting Fellow
Laboratory of Tumor Cell Biology, chief, Robert C. Gallo
1983年(昭和58年) ~1988年(昭和63年)東北大学医学部文部教官(細菌学教室)
1988年(昭和63年)~1991年(平成3年)財団法人相模中央化学研究所
1991年(平成3年) 東邦大学医学部医学科分子生物学研究室
2016年(平成28年)東邦大学退職
2017年(平成29年)平成塾塾長
現在に至る
演題2:「呼吸器疾患に応用する漢方薬の紹介:COVID-19からメンタルヘルスまで」 (14:40〜16:10)
講師:つむぎ漢方薬局 管理薬剤師 村田明美
漢方薬は大正時代に流行したスペイン風邪の治療に使用されていました。本講座ではスペイン風邪の治療をヒントにしたCOVID-19の漢方薬治療に関する最新の研究結果についてエビデンスに基づく所見や実際的な考慮事項を含めて解説します。
さらに、メンタルヘルスと呼吸器疾患の関係、および漢方薬が身体的症状と精神的症状の両方にどのように対処できるかを探り、ご紹介いたします。漢方薬は長期間服用しないと改善しないと思われがちですが、呼吸器疾患においては即効性のある対症療法的に使えるものもあります。体質改善にもつながる方剤を紹介し、漢方薬に馴染みのない薬剤師でも包括的に理解できるように説明する予定です。
薬価収載されている漢方薬を中心に述べますが、医療用医薬品、一般用医薬品、漢方サプリメントにも言及し、保険調剤における服薬指導だけでなく、セルフケア相談にも応用できる内容をお伝えします。
<演者略歴>
平成5年 昭和薬科大学卒業
平成5年 大正製薬株式会社入社 薬務部配属
平成8年 同 医薬企画室配属
平成12年 調剤薬局にて服薬指導従事
平成23年 中国人中医師の経営する漢方薬局に勤務
平成29年 つむぎ漢方薬局開業 現在に至る
【所属学会】日本東洋医学会 日本漢方協会
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オンライン開催
2 単位
G12 一般社団法人 昭薬同窓会・平成塾
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公開開始日:2023年2月2日~
一般社団法人昭薬同窓会・平成塾
alinfo@shoyaku.net または 042-722-5750 (平日午後1時から4時まで)